ポリプロピレン(PP)

フジワラケミカルエンジニアリングは、ポリプロピレン(PP)を用いて耐薬品性、耐磨耗性、耐衝撃性、軽量化が求められる高精度の高水密部品や産業装置筐体を製造しています。熱を加えると変形するため精度管理が難しく、また接着剤も効かないため、ポリ塩化ビニル(PVC)に比べて高い精密溶接技術を必要とします。

非常に高い耐熱温度で高温槽に適したポリプロピレン

ポリプロピレン(PP)モーター部品

ポリプロピレン(PP)は、軽量でありながら耐薬品性や耐熱性に優れ、幅広い産業で利用されています。フジワラケミカルエンジニアリングでは、このPPを用いて産業装置筐体に組み込む部品を製造しています。そのコア技術として位置づけているのがプラスチック精密溶接技術です。

PPは加工しやすい材料ですが、熱を加えると反りが発生しやすく、溶接時に熱管理と精度管理が必要な素材です。当社では、熟練の技術者による溶接技術で反りのない高精度な溶接を行い、半導体洗浄装置筐体に組み込む高温槽を製造しています。これらの分野では、気密性や耐久性、さらにはクリーン環境での使用に耐える特性が求められますが、当社の製品は極めて高い品質基準をクリアしています。

特に、溶接の精度が製品全体の強度や耐久性を左右するため、このプロセスは製品性能を左右する最も重要な工程です。フジワラケミカルエンジニアリングは、プラスチックの精密溶接技術を用いて、厳しい使用環境にも耐えうる製品を提供してきた実績があります。PP特有の柔軟性と軽さを最大限に活かしながらも、高難度のPP精密溶接で構造物に必要とされる耐熱性や耐薬品性を確保し、お客様のニーズに応えています。

ポリプロピレン(PP)の一般的な特徴

ポリプロピレン(PP)は、分子量が約40,000〜700,000で、軽量(密度0.90 g/cm³)かつ高い剛性を備え、多用途に適しています。半結晶性で、融点は130~171℃、耐熱温度は約100~110℃、耐寒性は-20℃程度です。優れた耐薬品性と電気絶縁性を持ち、吸湿性は0.01%以下ですが、紫外線に弱く劣化しやすいです。加工は射出成形、押出成形、ブロー成形が可能で、主にパッケージング、家庭用品、自動車部品、医療器具に使用されます。燃えやすい特性があります。

特徴説明
分子量約40,000~700,000
密度約0.90 g/cm³
結晶構造半結晶性
融点約130~171℃
比重0.90~0.91
引張強度20~40 MPa
耐熱温度約100~110℃
耐寒性-20℃程度
耐薬品性優れた耐薬品性
耐候性紫外線に弱い、劣化しやすい
電気絶縁性優れた電気絶縁性
吸湿性ほとんどなし(0.01%以下)
燃焼性燃えやすい
加工性射出成形、押出成形、ブロー成形が可能
用途パッケージング、家庭用品、自動車部品、医療器具 等
ポリプロピレン(PP)の一般的な特徴

【参考】ポリプロピレン(PP)の使用上の注意

注意点概要
低温環境での脆性低温環境では脆くなることがあるため、低温下での使用には注意が必要。
紫外線の影響非紫外線に弱く、長時間日光に晒されると劣化するため、屋外での使用にはUV安定剤が必要。
燃焼性燃えやすい素材であり、火気の近くでの使用は避ける。
耐薬品性一般的に耐薬品性は高いが、特定の強酸や強塩基には弱い場合があるため、薬品との接触には注意。
機械的ストレス一部の機械的ストレス(例えば、繰り返しの屈曲や衝撃)には弱い場合がある。
リサイクルリサイクルは可能だが、再生材を使用する際には品質に注意。
静電気の発生環境によっては静電気が発生しやすいため、帯電防止処理が必要な場合がある。
食品接触の安全性食品接触用途の場合、食品衛生法などの規制を遵守する必要がある。
使用環境特定の使用環境(例えば、海水中や極端な気候条件)に対しては適切なグレードを選択する必要がある。
ポリプロピレン(PP)の使用上の注意

当社使用材料のポリプロピレン(PP)

当社が使用するポリプロピレン(PP)の耐熱温度は120〜130℃で、比較的高温に耐えることができます。吸水性は非常に低く、0.03%です。耐酸性に優れていますが、耐アルカリ性はさらに高く、強アルカリにも対応可能です。一方で、耐溶剤性はやや劣り、特定の溶剤に対しては劣化する可能性があります。

項目
耐熱温度(℃)120〜130
吸水性(%)0.03
耐酸性
耐アルカリ性
耐溶剤性
コスト
当社使用材料のポリプロピレン(PP)

出典:「タキロン工業用材料 物性と設計」タキロン株式会社

プラスチック素材の耐熱温度とコスト

ポリプロピレン(PP)耐熱温度とコスト表

ポリプロピレン(PP)の産業別用途

ポリプロピレン(PP)は幅広い産業で利用されており、包装用容器、自動車部品、医療器具、家電カバー、建築資材、繊維製品、農業資材、家庭用品、電気・電子部品など、さまざまな用途に対応しています。

使用産業使用例
包装産業フィルム、ボトルキャップ、食品容器、パッケージ
自動車産業バンパー、インテリア部品、バッテリーケース
医療産業シリンジ、IVバッグ、医療器具、試験管
家電産業家電カバー、洗濯機・冷蔵庫の部品
建設産業パイプ、継手、タイル、断熱材
繊維産業カーペット、ロープ、不織布、ジオテキスタイル
農業資材産業農温室フィルム、灌漑パイプ、農業用シート
生活用品産業プラスチック家具、容器、家庭用雑貨
電気・電子産業コンデンサフィルム、電線被覆、ケーブルインシュレーション
ポリプロピレン(PP)の産業別用途

フジワラケミカルエンジニアリングの加工技術

フジワラケミカルエンジニアリングでは、耐熱温度120℃と非常に高いポリプロピレン(PP)を用いて半導体洗浄装置に組み込む高温槽などを製造しています。洗浄装置の筐体はポリ塩化ビニル(PVC)でライニングを行い、耐熱性が必要なタンクなどの組み込み部品にはPPを使用することも可能です。一貫生産体制において、組み立て図面を検討し、要求に応じたプラスチック素材をご提案することが、当社の大きな強みとなっています。

このように当社では、単にプラスチック素材を溶接加工するだけでなく、特殊な要件に対応したカスタム部品や筐体の製造が可能です。

筐体製造技術

プラスチック溶接ライニング

筐体の金属フレームをプラスチックで覆い一体化することで、金属材料だけでは満たすことができない耐薬品性や耐腐食性などの機能を付与するプラスチック溶接ライニング。6mを超える大型パーツを組み上げ、精密溶接ができる企業は全国でも少数です。

プラスチック溶接ライニング(PVC巻加工)

高精度・高水密の溶接

プラスチック溶接は、大型化・複雑化するほど精度を出すことが難しい技術ですが、フジワラケミカルエンジニアリングでは1mの誤差も許さない高い精度での溶接が可能です。また、その接合部は強固で、液体や化学薬品の漏れを防ぐ高水密性を実現します。

プラスチック溶接加工

オーダーメイド

プラスチックの機械加工と精密溶接の高い技術により、お客様のイメージや要望・要求に合った装置筐体や立体構造物をオーダーメイドで製造しています。豊富な知識と経験をベースに、簡単な組立イメージ図からでも部品図面を展開し、製品化することができます。

組立図面

一貫生産体制

仕様検討からはじまり、プラスチック素材の切削加工、曲げ加工、組立、溶接までの一貫生産体制を構築。装置筐体に内蔵する水密部品や可視性部品、インサートなどを合わせて製造できるため、精密機器との高い嵌合精度を実現します。

大型装置筐体組立出荷検査

テスト機にも対応

大型化・複雑化が進む製造装置に対して、新たな装置筐体を開発する際のテスト機一台にも対応します。開発のパートナーとしてより精度の高い筐体製作の提案を目指します。

大型装置筐体テスト機

部品製造技術

高精度の部品加工

金属加工用の加工機械を用いることで、0.1 mm単位の精密な切削加工を実現しています。複雑形状にも対応できる機械設備やCAD/CAMを揃え、高精度が要求される部品を製造しています。

CAD

精密溶接による部品製造

装置筐体に組み込む洗浄浴槽をはじめ、高温槽、薬液供給タンクやダクトなどの部品製造は、高精度・高水密であることが絶対条件です。それを可能にするのが切削加工したプラスチックを強固に接合するプラスチック精密溶接技術です。

半導体洗浄装置

徹底した品質管理

半導体製造装置業界で求められる厳密な品質基準をクリアした生産体制のもと、素材ごとの加工・仕上げ方法から検査方法に至るまで、ISO9001:2015に準拠した品質管理を徹底しています。

部品寸法検査

小ロット対応

多品種少量生産の体制を強みに、切削加工部品の小ロット対応はもちろん、今までにない新しい部品を作るオーダーメイドや細かなカスタマイズなど臨機応変に対応。お客様の要望・要求に応えた部品を提供しています。

小ロット出荷検査

加工例

よくあるご質問

製造可能なサイズを教えてください。

お客様のご要望に応じて、幅広いサイズの製品を柔軟に製造することが可能です。サイズや形状について具体的なご要望がある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

PPパイプとPP継手を接着することができますか?

PPパイプとPP継手を接着することはできません。

公差はどれくらい対応可能ですか?

最大±0.1 mmまで対応可能です。詳細はお問い合わせください。

1個からでも対応してもらえますか?

お見積りさせていただき、納期・価格に問題が無ければ対応させていただきます。

検討したい図面があるのですが、打ち合わせは可能でしょうか?

はい。ご依頼をいただけば訪問し、面談させていただきます。また、オンラインでの面談も対応しております。