ポリ塩化ビニル(PVC)

フジワラケミカルエンジニアリングは、耐薬品性、耐腐食性、耐久性などに優れたポリ塩化ビニル(PVC)を用いて、産業装置用の高水密部品や筐体を製造しています。工業用・浄水用プラントの部品・タンクから大型装置筐体まで対応し、半導体業界や医療業界、食品業界などの多様なニーズに応えています。

大型装置筐体のライニングに最適なポリ塩化ビニル

ポリ塩化ビニル(PVC)部品

ポリ塩化ビニル(PVC)は、その優れた特性により、幅広い産業で利用されている素材です。特に耐候性、耐薬品性、耐摩耗性に優れ、過酷な環境下でも安定した性能を発揮します。また、電気絶縁性も高いため、電気部品の保護や安全性を確保するための材料としても使用されています。加えて、PVCは柔軟性があり、射出成形や押出成形などの加工が容易で、大量生産にも適しています。そのため、建設、電気、医療など多岐にわたる分野で広く採用されています。

防水性や耐湿性にも優たPVCは、建築材料としては雨風や湿気に強く、長期的に耐久性を保つことが可能です。例えば、配管や外装材、ケーブル被覆などに使用され、耐久性を求められる構造物の一部としての役割を果たしています。

フジワラケミカルエンジニアリングでは、このようなPVCの特性を最大限に活かし、産業装置筐体の製造分野において高い精度と信頼性を提供しています。様々なメーカー様の筐体製造に多数の実績があり、研鑽を積んだ精密加工技術と高度な溶接技術により、半導体洗浄装置を高機能化する筐体を製造。6mを超える大型装置の筐体をはじめ、厳しい耐久性や水密性が求められる薬液供給タンクやダクトなども手がけています。

PVCはカスタマイズやオーダーメイドに対して圧倒的に自由度が高く、お客様のニーズに合わせた製品を柔軟に製造できるメリットがあります。当社ではこれからもPVCの機械加工と精密溶接の技術で精度と耐久性を追求し、あらゆる業界の要求に応える製品づくりを続けていきます。

ポリ塩化ビニル(PVC)の一般的な特徴

ポリ塩化ビニル(PVC)は、耐久性、電気絶縁性、柔軟性、加工性、環境耐性など、多くの優れた特性を持つ素材です。さらに耐薬品性や耐摩耗性に優れており、長期間の使用が可能で、経済的に大量生産しやすい点も特長です。溶接が容易であり、用途に応じて柔軟性を調整することもできます。電気絶縁性が高いため電気配線などに使用されるほか、防水性と高い剛性を備えていることから、建築材料や包装材料としても活用されています。さらに、リサイクル可能で耐燃性も備えているため、さまざまな分野で幅広く利用されています。

特徴説明
分子量約62,500~100,000
密度約1.35~1.45 g/cm³
結晶構造非晶性
融点約100~260℃。徐々に軟化し、加熱により成形が可能
硬度高い剛性と硬度があり、建築材料などの堅牢な製品に適する
耐久性耐候性、耐薬品性、耐摩耗性に優れており、長期間の使用に耐える
環境耐性防水性があり、湿気やカビに強い耐性を持つ
電気絶縁性電気絶縁性が高く、電気ケーブルや配線に使用される
柔軟性柔軟性があり、様々な形状に成形可能。柔軟性は可塑剤の使用で調整可能
加工性熱可塑性で、加熱して溶接が可能。射出成形、押出成形、真空成形などにも対応
透明性透明性を持つグレードもあり、窓や包装材料などに使用される
着色性多様な色に着色可能で、装飾用途にも適する
耐燃性自己消火性があり、火がついてもすぐに消える特性を持つ
リサイクル性リサイクル可能で、再利用率も高い
ポリ塩化ビニル(PVC)の一般的な特徴

【参考】ポリ塩化ビニル(PVC)の使用上の注意

注意点説明
加工温度の管理高温で加熱すると有害な塩化水素ガスが発生する可能性がある。高温での加工時には換気が必要。
可塑剤の使用柔軟性を増すために可塑剤を使用する場合があるが、特定の可塑剤は健康に悪影響を及ぼす可能性がある。種類と使用量に注意。
紫外線の影響長時間紫外線に曝されると劣化する可能性がある。紫外線耐性を向上させる安定剤を使用するか、適切なカバーで保護する。
燃焼時の毒性燃焼時に有毒ガスが発生するため、燃焼は避ける。廃棄時には適切な方法で処理する必要がある。
加工時の発塵加工時に粉塵が発生する可能性がある。吸入を防ぐために防護具(マスク、手袋など)を着用する。
保存方法直射日光や高温、多湿を避けて保存する。適切な保存環境で品質を維持することが重要。
廃棄方法不適切な廃棄は環境汚染につながる可能性がある。環境に配慮した方法で廃棄し、リサイクルを促進する。
接触による影響長時間皮膚に触れると刺激を感じる場合がある。作業時には保護具を着用し、適切な作業環境を整える。
安全データシートの確認使用前に安全データシート(SDS)を確認し、取り扱い方法や安全対策を理解する。
リサイクルPVCはリサイクル可能だが、他のプラスチックと混ざると困難になる。リサイクルプロセスに従って適切に処理する。
ポリ塩化ビニル(PVC)の使用上の注意

当社使用材料のポリ塩化ビニル(PVC)

当社の使用するポリ塩化ビニル(PVC)には、工業用と耐熱用の2種類があります。工業用PVCは耐熱温度が60〜65℃で、吸水性は0.03〜0.05%と低く、耐酸性と耐アルカリ性に優れていますが、耐溶剤性はやや劣ります。一方、耐熱用PVCは耐熱温度が80〜85℃と高く、吸水性、耐酸性、耐アルカリ性の性能は同等ですが、耐溶剤性は同様に△評価です。どちらも特定の環境に適した用途に利用します。

工業用PVC

項目
耐熱温度(℃)60〜65
吸水性(%)0.03〜0.05
耐酸性
耐アルカリ性
耐溶剤性
コスト
当社使用材料の工業用PVC

出典:「タキロン工業用材料 物性と設計」タキロン株式会社

耐熱用PVC

項目
耐熱温度(℃)80〜85
吸水性(%)0.03〜0.05
耐酸性
耐アルカリ性
耐溶剤性
コスト
当社使用材料の耐熱用PVC

出典:「タキロン工業用材料 物性と設計」タキロン株式会社

プラスチック素材の耐熱温度とコスト

ポリ塩化ビニル(PVC)の耐熱温度とコスト表

ポリ塩化ビニル(PVC)の産業別用途

ポリ塩化ビニル(PVC)は、強度、防水性、絶縁性、耐薬品性を活かし、建築のパイプや窓枠、電気・電子の電線やコネクタ、医療の血液バッグやチューブ、包装の食品フィルム、家具やインテリア、ファッション製品に利用されています。また、自動車の内装部品やワイヤーハーネス、農業の灌漑パイプや温室フィルム、日用品など、幅広い分野で活用されています。

使用産業説明
建材・住宅設備産業パイプ、窓枠、ドア、床材、壁紙、屋根材、断熱材 等。建材としての強度、耐久性、防水性を活かします。
電気・電子産業電線・ケーブルの絶縁被覆、電気スイッチ、プラグ、コネクタ、家電製品の部品 等。高い絶縁性が重要です。
医療産業血液バッグ、輸液バッグ、カテーテル、チューブ、医療用手袋 等。無毒で衛生的な特性が求められます。
包装産業食品包装フィルム、ボトル、シート、ブリスターパック、ラベル 等。防湿性と耐薬品性が重要です。
インテリア装飾材産業家具の張り材、クッション材、テーブルクロス、カーテン、壁紙 等。デザイン性と柔軟性が重要です。
ファッション・アパレル産業靴、レインコート、バッグ、ベルト、アクセサリー 等。耐水性と多様なデザインが求められます。
スポーツ・アウトドア産業インフレータブルボート、プール、ホース、スポーツシューズ、スポーツ用品 等。耐久性と防水性が重要です。
自動車産業ダッシュボード、内装パネル、シートカバー、ワイヤーハーネス、ホース 等。耐久性、絶縁性、防水性が求められます。
農業資材産業灌漑用パイプ、ホース、温室フィルム、貯水タンク 等。耐候性と耐薬品性が重要です。
消費財産業おもちゃ、家庭用品、日用品、オフィス用品 等。安全性とコストパフォーマンスが求められます。
ポリ塩化ビニル(PVC)の産業別用途

フジワラケミカルエンジニアリングの加工技術

フジワラケミカルエンジニアリングはポリ塩化ビニル(PVC)を使用した精密溶接ライニングを得意とし、なかでも機能的要求度が高い「洗浄装置筐体」の製造では豊富な実績があります。
筐体を高機能化させる精密溶接ライニング技術は、半導体業界はもとより、食品業界や医療業界でも期待される技術です。
今後さらに進む大型化・複雑化する産業装置筐体のニーズにも対応可能です。

筐体製造技術

プラスチック溶接ライニング

筐体の金属フレームをプラスチックで覆い一体化することで、金属材料だけでは満たすことができない耐薬品性や耐腐食性などの機能を付与するプラスチック溶接ライニング。6mを超える大型パーツを組み上げ、精密溶接ができる企業は全国でも少数です。

プラスチック溶接ライニング(PVC巻加工)

高精度・高水密の溶接

プラスチック溶接は、大型化・複雑化するほど精度を出すことが難しい技術ですが、フジワラケミカルエンジニアリングでは1mの誤差も許さない高い精度での溶接が可能です。また、その接合部は強固で、液体や化学薬品の漏れを防ぐ高水密性を実現します。

プラスチック溶接加工

オーダーメイド

プラスチックの機械加工と精密溶接の高い技術により、お客様のイメージや要望・要求に合った装置筐体や立体構造物をオーダーメイドで製造しています。豊富な知識と経験をベースに、簡単な組立イメージ図からでも部品図面を展開し、製品化することができます。

組立図面

一貫生産体制

仕様検討からはじまり、プラスチック素材の切削加工、曲げ加工、組立、溶接までの一貫生産体制を構築。装置筐体に内蔵する水密部品や可視性部品、インサートなどを合わせて製造できるため、精密機器との高い嵌合精度を実現します。

大型装置筐体組立出荷検査

テスト機にも対応

大型化・複雑化が進む製造装置に対して、新たな装置筐体を開発する際のテスト機一台にも対応します。開発のパートナーとしてより精度の高い筐体製作の提案を目指します。

大型装置筐体テスト機

部品製造技術

高精度の部品加工

金属加工用の加工機械を用いることで、0.1 mm単位の精密な切削加工を実現しています。複雑形状にも対応できる機械設備やCAD/CAMを揃え、高精度が要求される部品を製造しています。

CAD

精密溶接による部品製造

装置筐体に組み込む洗浄浴槽をはじめ、高温槽、薬液供給タンクやダクトなどの部品製造は、高精度・高水密であることが絶対条件です。それを可能にするのが切削加工したプラスチックを強固に接合するプラスチック精密溶接技術です。

半導体洗浄装置

徹底した品質管理

半導体製造装置業界で求められる厳密な品質基準をクリアした生産体制のもと、素材ごとの加工・仕上げ方法から検査方法に至るまで、ISO9001:2015に準拠した品質管理を徹底しています。

部品寸法検査

小ロット対応

多品種少量生産の体制を強みに、切削加工部品の小ロット対応はもちろん、今までにない新しい部品を作るオーダーメイドや細かなカスタマイズなど臨機応変に対応。お客様の要望・要求に応えた部品を提供しています。

小ロット出荷検査

加工例

よくあるご質問

耐食性のあるPVCの加工は可能ですか?

はい、対応可能ですので、図面を送付ください。当社ではエンプラなどの加工実績がありますので、お気軽にお声掛けください。ABSより強度が高いです。

屋外で塩ビ管を使用しますが大丈夫ですか?

長年、使用いただいている実績が多数あります。

透明塩ビパイプとアクリルパイプは違うものですか?

違います。違う材料から製造されたパイプです。用途によって使い分けます。透明塩ビパイプは、耐食性、耐薬品性に優れた透明塩化ビニル樹脂(PVC)製のパイプです。

1個からでも対応してもらえますか?

お見積りさせていただき、納期・価格に問題が無ければ対応させていただきます。

検討したい図面があるのですが、打ち合わせは可能でしょうか?

はい。ご依頼をいただけば訪問し、面談させていただきます。また、オンラインでの面談も対応しております。