オゾン洗浄とプラスチック:半導体・食品業界における新たな活用法

オゾンは、強力な酸化作用を持つ気体として、空間殺菌や水処理などさまざまな分野で利用されています。特に近年では、環境負荷の少ない洗浄・殺菌手段として注目され、多くの産業で活用が進んでいます。

その中でも、半導体産業食品業界において、オゾンを利用した洗浄技術が重要な役割を果たしています。しかし一方で、オゾンの強い酸化力は、金属部材にダメージを与え、腐食を引き起こすという課題も生じています。

この課題を解決するために、オゾン耐性を持つプラスチック素材の活用が注目されています。本稿では、半導体と食品業界におけるオゾン洗浄の役割と、プラスチック利用のメリットについて、最新のエビデンスも交えながら解説します。

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    半導体産業におけるオゾン洗浄とプラスチック活用

    半導体製造工程では、微細な汚染除去が製品の歩留まりに直結します。ここでは、オゾン洗浄が果たす役割と、それに伴う腐食リスクの軽減策としてのプラスチック素材の活用について解説します。

    オゾン洗浄の役割

    半導体製造工程では、シリコンウェハー表面に付着した微細な有機汚染を除去するため、極めて高い精度の洗浄プロセスが求められます。わずかな汚染でも、微細な配線形成に悪影響を及ぼし、デバイス不良につながるためです。

    オゾンは、酸化力により有機物を分解し、しかも処理後は酸素に戻るため、純度を損なうことなく洗浄できる特徴を持っています。
    特に、オゾン水を用いた洗浄技術は、従来の酸・アルカリ洗浄に比べて薬品使用量やリンス水量を大幅に削減できることが実証されており、環境負荷低減にも寄与しています。

    金属腐食リスク

    しかし、オゾンの酸化力は、洗浄装置内部の金属パーツにも作用します。アルミニウムや銅などの金属はオゾンにさらされると酸化され、腐食や劣化が進行します。これにより、微粒子(パーティクル)が発生し、ウェハー表面に付着して歩留まり低下の原因となるリスクがあります。

    また、金属腐食は装置の寿命短縮や頻繁なメンテナンスの必要性を引き起こし、生産コストの増加につながる問題も無視できません。

    プラスチック利用のメリット

    この問題を解決する手段として、オゾン耐性プラスチックの活用が注目されています。

    具体的には、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)PFA(パーフルオロアルコキシ樹脂)PVDF(ポリフッ化ビニリデン)といった高耐久素材が利用されています。
    これらのプラスチックは、オゾンに対する高い耐性を持ち、長期間にわたり腐食レスな環境を実現します。
    また、微粒子発生が極めて少ないため、クリーンルーム環境においても安心して使用できるのが大きな特徴です。

    プラスチック部材の採用により、装置の長寿命化、製品品質の向上、メンテナンスコストの削減という多くのメリットがもたらされています。

    食品業界におけるオゾン洗浄とプラスチック活用

    食品業界においても、衛生管理の徹底は製品品質の維持に欠かせない要素です。ここでは、オゾン洗浄がもたらす衛生効果と、それに伴う金属腐食のリスクを軽減するためのプラスチック素材の活用について解説します。

    オゾン洗浄の役割

    食品業界でも、オゾンは強力な殺菌・除菌手段として広く使われています。
    オゾン水やオゾンガスによる洗浄は、細菌・カビ・ウイルスを効率的に除去でき、しかも薬品を使わず、残留性がないため安全性が高い点が評価されています。

    実際に、オゾン水における殺菌効果の研究では、E. coliやPs. fluorescensなどの細菌は、1ppmのオゾン水でわずか3分間の処理により完全に死滅することが示されています。

    このため、カット野菜、精肉、鮮魚などの加工現場をはじめ、製造ラインや包装材の除菌にもオゾン洗浄は広く導入されています。

    金属腐食リスク

    一方で、オゾン環境下では、食品製造設備の金属部材が腐食しやすくなります。
    タンク、配管、搬送ラインなどに使われる金属が錆びると、異物混入リスクが高まり、食品の品質・安全性に重大な影響を及ぼします。
    また、腐食部分は清掃が難しくなり、衛生管理コストの増大を招く要因にもなります。

    プラスチック利用のメリット

    この問題を解消するため、食品業界でもプラスチック部材への置き換えが進められています。

    PP(ポリプロピレン)PVDFPFAなどの耐オゾンプラスチックを使用すれば、錆びる心配がなく、軽量で清掃性にも優れた設備を構築できます。
    また、これらの素材は食品衛生法に適合したグレードもあり、安全面においても十分な信頼性を確保することができます。

    プラスチック化によって、衛生リスクを減らし、設備の長寿命化、メンテナンスコストの削減を実現している事例が多数報告されています。

    オゾン耐性プラスチックの紹介

    以下に、オゾン環境下での代表的なプラスチック材料と特徴をまとめます。

    材料特徴主な用途例
    PTFE最高レベルの耐薬品性・耐オゾン性洗浄装置内配管、シール部品
    PFA成形性に優れ、高い耐久性チューブ、ノズル、継手
    PVDFコストと性能のバランスが良好タンク、パイプ、ライナー
    PP軽量・コストパフォーマンスに優れる食品製造ライン部材

    使用環境に応じた適材適所な選定が、オゾン洗浄設備の長期安定運用には欠かせません。

    まとめ

    オゾン洗浄は、半導体製造におけるウェハー洗浄や、食品加工における殺菌・衛生管理において非常に有効な技術です。
    一方で、金属腐食というリスクも内在しており、それを適切に管理することが求められます。

    オゾン耐性に優れたプラスチック素材を活用することで、以下の効果を実現できる可能性が広がっています。

    オゾン耐性に優れたプラスチック素材を活用するメリット
    • 腐食リスクの回避
    • 製品品質の安定
    • 装置の長寿命化とコスト削減

    これからの産業現場において、オゾン技術とプラスチック技術の融合は、ますます重要なテーマとなるでしょう。

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