脱テフロン時代の課題解決:フジワラケミカルエンジニアリングの技術が拓く未来

はじめに:脱PFASの波と現場の戸惑い
近年、欧米を中心に強まっているPFAS規制により、半導体産業をはじめ多くの分野で「テフロンをどう置き換えるか」という難題が突きつけられています。
テフロン(PTFE)は耐熱・耐薬品・低摩擦・絶縁といった特性をバランスよく備えた「万能素材」であり、その代替は容易ではありません。
特に半導体産業では、装置や薬液処理部材に求められる条件が非常に厳しく、単純に別の樹脂に置き換えるだけでは問題が発生します。
例えば「耐薬品性は十分でも耐熱性が不足する」「低摩擦は優れているが強度が足りない」といった具合です。つまり、テフロン代替の現実的アプローチは「万能を求める」のではなく、「用途ごとに最適化」することにあります。
こうした状況で重要になるのが、樹脂の特性を理解し、加工技術を駆使して最適な形に仕立てる力です。
フジワラケミカルエンジニアリングは、その課題解決を支える伴走者として、樹脂加工の可能性を広げています。
当社の強み①:樹脂溶接加工による大型部材の対応力
テフロン代替の第一歩として有効なのが、「板材から構造体をつくる溶接技術」です。当社はPVCをはじめ、PP・PE・PVDFといった非フッ素樹脂を設計自由度の高い溶接構造物へと加工するノウハウを持っています。特に薬液タンクや槽、配管、ボックスといった大型構造物において、耐薬品性・密閉性・安全性を両立する点に強みがあります。
- PE溶接
陸上養殖用の水槽や産廃ボックス、薬液タンクに利用。大型でもシームレスに仕上げられます。 - PP溶接
食品・化学装置での実績多数。気密性と強度を両立でき、薬液処理ラインにも対応可能です。 - PVDF加工
半導体産業でニーズが高い材料。耐薬品性と清浄性に優れますが加工が難しい。当社は切削・溶接の両面で対応し、薬液タンクやクリーン用途の部材を製作しています。 - PMP溶接加工
新たに取り入れ始めているのがPMP(ポリメチルペンテン)の溶接加工です。PMPは軽量かつ透明であり、耐薬品性も備えます。従来PTFEで製作されていた角槽をPVDFやPMPに置き換えることで、透明性というPTFEにはなかった付加価値を提供できます。これにより薬液の状態を直接目視確認でき、保守性や安全性の向上につながります。さらに将来的には、センサーやカメラを用いたリアルタイム監視を可能にし、半導体産業で進む全行程のロボット化に資する基盤となることが期待されます。
当社の強み②:高精度切削加工での自由設計
溶接と並び、テフロン代替において重要なのが精密な切削加工技術です。当社では、複雑な形状を要する部品や、寸法精度が求められる機構部材を、豊富な樹脂材料ラインナップから最適なものを選び出し、高精度な加工と安定した品質で提供しています。
- 高精度部品の製作
搬送ガイドやシール材などをPEEKやPPSで製作。摺動部品や耐摩耗用途に適しています。 - 透明樹脂の加工
PMPやCOPといった新素材も切削対応可能。透明性や低アウトガスといった特性を活かした部材が製作できます。 - 小ロット・試作対応
半導体装置メーカーごとに異なる仕様にも柔軟に対応。研究開発段階から顧客と伴走し、試作〜量産移行の検証工程を支えます。
当社の強み③:品質安定と治具製作のノウハウ
高機能樹脂を扱ううえで欠かせないのが、再現性を確保するための品質管理と治具設計です。当社では「同じ品質を何度でも再現できること」を重視し、治具や工程を独自に設計・管理しています。これにより、複雑な形状や小ロット生産でも品質のばらつきを抑え、安定供給を実現しています。
- 治具設計と活用
リピート品の加工には専用治具を設計し、透明化や色分け、表示工夫で作業性を高めます。これにより不具合を抑制し、高い再現性を確保します。 - 端材管理・歩留まり改善
板取ソフトや端材棚を用いた管理により、限られた高機能樹脂を無駄なく利用。高価な新素材を扱う際のコスト抑制に直結しています。
当社の強み④:伴走者としての価値
テフロン代替は、単に材料を入れ替えるだけでは成立しません。材料特性・設計要件・加工プロセスを総合的に理解し、最適解を導く協働が必要です。当社は、設計者や調達担当者と同じ目線で課題を共有し、「どう置き換えるか」ではなく「どう最適化するか」を共に考える伴走型のスタイルをとっています。
- 「この薬液に耐える素材が欲しい」
- 「摩耗を減らしつつ清浄度を高めたい」
- 「透明で液を観察できる部材を作れないか」
こうした声に耳を傾け、材料選定から加工法、治具設計まで一貫して支援します。万能素材が使えなくなる時代だからこそ、組み合わせによる最適化の設計力が求められています。
想定される導入効果:透明性と自動化の融合
例えばPMPを用いた透明角槽を導入すれば、薬液の液面や沈殿物を外部から視認できます。これに加え、カメラやセンサーと連動させれば、リアルタイムでの自動監視・予防保全が可能になります。これにより装置停止時間を削減し、将来的にはAIや画像解析と組み合わせたプロセス制御にも発展し得ます。
つまり、テフロン代替は「性能を維持した置換」にとどまらず、透明性を活かしたスマートファクトリー化への貢献という新しい価値をもたらす可能性があるのです。
まとめ
PFAS規制による脱テフロンは、産業界にとって避けられない課題です。万能素材を失うことで現場には混乱が広がりますが、同時に「用途ごとに最適解を探す」という新しい視点も生まれています。
フジワラケミカルエンジニアリングは、樹脂溶接・切削加工のノウハウ、品質安定の仕組みづくり、そして顧客に寄り添う伴走姿勢を武器に、この課題解決に挑んでいます。特にPMPによる透明部材は、視認性の向上だけでなく、自動化・ロボット化に直結する新しい価値を提供できる可能性を秘めています。
テフロン代替は単なる材料置き換えではなく、設計力・加工技術・現場理解の三位一体で初めて実現できます。その意味で、私たちは「脱テフロン時代の課題解決パートナー」として、未来のものづくりを顧客と共に創り上げていきたいと考えています。